役員給与が損金に算入されない場合
2023年5月17日
設問 以下は、××期(事業年度 ×1年4月1日~×2年3月31日)にA社が行った役員報酬の改定と支給です。
支給した額での損金算入が認められないものは、次のうちどれですか。
①定時株主総会で役員Bの役員報酬を改定し、毎月50万円だったものを×1年6月から60万円に増額した。
②×1年9月に役員Cが退職し、役員退職金を支給した。
③業績好調のため、×1年10月に臨時株主総会を開き、毎月50万円の役員Dの役員報酬を11月から60万円に増額した
目次
税理士からの回答
役員に支払われる給与には、役員報酬、役員賞与、役員退職金の3つがあり、これらは役員給与という概念でまとめられています。
このうち、役員報酬と役員賞与については、次の一定の要件を満たす場合に損金に算入できます。
- 定期同額給与…1ヵ月以下の一定期間ごとに毎回同額が支給される給与であること
- 事前確定届出給与…税務署に事前に届出をして、所定の時期にあらかじめ定めた額を支給する給与であること
- 利益連動給与…同族会社に該当しない法人において、有価証券報告書等により算定方法が事前に定められており、それに基づいて支給される給与であること
役員退職金については、原則として損金に算入できます。ただし、役員給与のすべてに共通しますが、不相当に高額な部分の金額や、事実を偽って支給した給与などは損金に算入できません。
従って正解は③となります。
期の途中で役員給与を改定すると、その額を損金にできない場合があります。
例えば、決算日から3ヵ月を経過した月以降に、業績が好調などの理由で役員報酬を改定した場合は認められません。
一方、役員報酬を定時株主総会で改定した場合や、臨時であっても役員の地位の変更など特段の事情があったり、業績が著しく低下した場合などは、改定後での損金算入が認められます。