所得控除に関する計算問題

設問 Iさんは今年、1人目の子供が生まれました。出産に伴う支出が45万円、出産給付金として30万円の支給を受けました。Iさんの所得は給与所得400万円のみ、妻は専業主婦、その他の要素は考えない場合に、Iさんの所得控除の合計は次の内どれになるでしょうか。 

①159万円
②119万円
③91万円

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 税理士による回答

私たちは年末調整や確定申告の時期になると、所得控除という言葉を見聞きします。

所得控除とは、所得税額を計算する時に、各納税者の個人的事情を配慮するために所得から控除されるものであり、それにより出来るだけ課税の公平性を図ろうとするものです。

所得控除は、全部で15種類あります。所得控除を性質により分類すると、人的控除と物的控除の2つに分かれます。

人的控除とは、人的要因を考慮することにより差し引きすることができるものであり、配偶者控除、配偶者特別控除、扶養控除、障害者控除、寡婦控除、寡夫控除、勤労学生控除、基礎控除があります。

一方、物的控除とは、人的控除以外のものであり、社会保険料控除、生命保険料控除、地震保険料控除、小規模企業等掛金控除、医療費控除、寄付金控除、雑損控除があります。

この内、今回は設問に該当する控除について解説します。
まずは基礎控除についてです。これは収入のある全ての納税者に対して無条件に認められている控除のことで、生活していく上で最低限必要なものとして一律38万円となっています。

次は配偶者控除、扶養控除です。この2つの控除は要件が殆ど同じですので、併せて解説します。この2つの控除は納税者本人の配偶者・扶養親族が一定の要件を満たしている時に、受けることができる控除をいいます。

一定の要件とは、年間の合計所得が38万円以下であること、また青色申告者の事業専従者として給与を受け取っていないこと、白色申告者の事業専従者でないこと、ここまでが共通する要件です。

その上で控除対象者が、法律上の配偶者である場合には配偶者控除、配偶者以外の親族の場合には扶養控除の適用を受けることができます。基本的に金額は両方共に38万円ですが、年齢・同居の有無・特別障害者に該当するか否かによって金額が変わります。

最後は医療費控除です。これは納税者本人又は生計を一にする配偶者や扶養親族のために支払った医療費の内、一定の金額を控除できるというものです。対象となる金額は次のように計算します。

(実際に支払った医療費の合計額―保険金などで補てんされる金額)-10万円

注)その年の総所得金額が200万円未満の人は10万円に変えて総所得金額等の5%で計算

設問では、まず医療費において計算式に当てはめると(45-30)-10=5万円
次に配偶者控除及び扶養控除は共に38万円ですので合わせて76万円、それに基礎控除38万円を加えますと、正解は②となります。

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