退職した時の所得税が還付される場合がある
設問 Iさんは今年、勤務先を退職しました。今年の給与収入が90万円、そこから源泉徴収されている所得税が5万円ありました。
退職後に再就職せずに収入がない場合にIさんが確定申告することで還付される金額として正しいものは、次のうちどれですか。
①0円
②3万円
③5万円
税理士からの回答
確定申告書を提出する義務のない人でも、給与等から源泉徴収された所得税額が年間の所得金額について計算した所得税額よりも多いときは、確定申告をすることによって、納め過ぎの所得税の還付を受けることができます。
この申告を還付申告といいます。
所得税の確定申告は、2月16日から3月15日とされていますが、これは納税額がある場合であり、還付申告については、1月1日から取り扱われています。
そしてサラリーマンは、次のような場合などには、原則として還付申告をすることができます。
(1) 年の途中で退職し、年末調整を受けずに源泉徴収税額が納め過ぎとなっているとき
(2) 一定の要件のマイホームの取得などをして、住宅ローンがあるとき
(3) マイホームに特定の改修工事をしたとき
(4) 認定長期優良住宅に当てはまるマイホームの取得などをしたとき
(5) 災害や盗難などで資産に損害を受けたとき
(6) 多額の医療費を支出したとき
(7) 特定の寄附をしたとき
この内、設問に該当する中途退職して年末調整を受けていない場合について詳しく見てみます。
サラリーマンは、年末調整により所得税の納税が完了しますので、原則として確定申告の必要はありませんが、年の途中で退職すると所得税が納め過ぎになる場合があります。
この内、中途退職した年に再就職した場合は、新しい勤務先で前の勤務先の給与を含めて年末調整することになりますので、所得税の納め過ぎは解消されます。
しかし、中途退職したまま再就職しない場合は年末調整を受けられませんので、所得税は納め過ぎのままとなります。
この納め過ぎの所得税は、翌年になってから確定申告をすれば還付を受けられます。
この申告は、退職した翌年以降5年以内であれば行うことができますが、申告に必要な添付書類がそろい次第早めに行うことをお勧めします。
また、その際には、退職した勤務先から交付される給与所得の源泉徴収票(原本)を添付する必要があります。
お給料に対して所得税が課税されるボーダーラインは、基礎控除38万円と給与所得控除65万円を合計した103万円となります。
設問では、給与収入90万円ですので、103万円以下となるため、所得税は課税されません。あらかじめ源泉徴収されている5万円は全額還付されることとなります。したがって、正解は③となります。
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