相続税を申告する期限について
設問 Hさんは今年の2月10日に母を亡くしました。相続人は長男と長女と私(次男)の3人です。
3人がそれぞれ離れているためになかなか遺産分割の協議ができずにいますが、相続税の申告はいつまでに行えばよいでしょうか。以下から選んでください。
①5月10日
②10月10日
③12月10日
税理士による回答
相続税が他の税金と大きく違うのは、一生の内で何度もない、普段あまり馴染みがない税金であるということです。
多くの方が初めてのケースのため、いつまでに申告すればよいのかについても戸惑う事が多いと思います。
相続税の申告は、被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10か月以内に行うことになっています。
もし期限内に申告できなかった場合には、法律上定められている制度を利用できなかったり、ペナルティーが課せられたりしますので注意が必要です。
具体的には、配偶者が相続した財産に関しては、法定相続分か1億6千万円のいずれか大きい方の金額まで相続税がかからない制度である「配偶者控除」が利用できなくなります。
また、相続財産の中に住宅や事業で使われていた宅地等がある場合には、その宅地等の評価額の一定割合を減額する制度である「小規模宅地の評価減の特例」が使えなくなります。
しかし設問のように相続人がお互いに離れていてなかなか遺産分割の協議ができない場合には、相続税の申告期限になっても遺産分割ができていないことがあります。
その場合、各相続人の相続税額が決まりませんので、申告できないのではと思われるでしょう。このような時には、とりあえず法定相続分にしたがって遺産分割をしたことにして一旦は各相続人が相続税を支払います。
そして、その後に正式に遺産分割がまとまったら、それぞれの過不足を清算することで、上記の制度を利用することができます。但し、相続税の申告期限から3年以内に手続きを行うことが条件ですので注意が必要です。
また相続税申告の提出先は、相続人の住所地を管轄する税務署ではなく、被相続人が死亡した時の住所地を管轄する税務署となります。
設問では、相続人3人全員が12月10日までに申告書を提出することになります。
従って」、正解は③となります。
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