相続税の分割納付とは

設問 Hさんは、どうにか遺産分割協議がまとまり、申告期限までに申告書を提出できるようになりました。

しかし、相続税額を一括納付する事が出来ないため、分割納付しようと考えています。現在の分割納付の制度は、納付すべき相続税額がいくらの場合に認められているでしょうか。以下から選んでください。

①10万円超
②30万円超
③100万円超

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 税理士からの回答

相続は、ある日突然起こったということが少なくありません。予め相続について対策をとっていれば良いのですが、亡くなってから初めて多額の相続税を払わなければいけないことに気づくようなケースもあるでしょう。

そういった多額の相続税を一度に支払えない場合に備えて、税法上では延納と物納という2つの制度が設けられています。
延納とは、利子税を支払うことを条件に相続税を分割で支払っていく方法のことです。

延納の許可を受けるためには、次の4つ要件を全て満たすことが必要です。

① 相続税の納税額が10万円を超えている場合

② 金銭で納付することが困難な理由があり、かつ、その納付を困難とする金額の範囲内であること。

③ 延納税額及び利子税額に相当する担保を提供すること。(但し、延納税額が50万円未満で、かつ、延納期間が3年以下である場合には担保を提供する必要はありません。)

④ 延納申請書を相続税の納期限までに税務署に提出した場合

延納のできる期間と利子税については、相続財産の中に占める不動産等の価額の割合によって、延納期間は5年から最高で20年、利子税は3.6%~6.0%までとなっています。

延納は便利な方法である一方で、利子税を長期で金利負担することを考えた場合には、金融機関からの借入により、一括納付した方が負担が少ないという場合もありますので注意が必要です。

次に物納ですが、延納でも納めることができない場合に金銭の代わりに物で納める方法のことです。物納できる財産は何でも良いというわけではなく優先順位があり、以下の順番で物納の対象になります。

第1順位 国債、地方債、不動産、あるいは船舶

第2順位 社債、株式、などの有価証券

第3順位 動産

尚、物納する場合には物納申請書を相続税の納付期限までに税務署に提出しなければいけません。

設問では、延納の4つの要件の内、相続税の納税額が10万円を超えている場合についての確認でしたので、正解は①となります。

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