勤続年数と退職所得の関係
問題 Iさんは今年、勤続35年6カ月で会社を退職し、退職金2300万円を受け取りました。その他の要素は考えないものとして、Iさんの退職所得の額として正しいのは、次のうちどれでしょうか。
①0円
②190万円
③225万円
④380万円
回答
退職所得とは、退職に伴い勤務先から受ける退職手当のことをいいます。このほかにも退職所得とみなされる一時金として以下のものがあります。
・社会保険制度(国民年金・厚生年金など)の規定に基づいて支給される一時金
・適格退職年金契約に基づいて支給される退職一時金 など
退職所得は、長年の勤務に報いるという性質から税制面ではかなり優遇されています。
具体的な退職所得の計算方法は、退職手当等の収入金額から退職所得控除額を控除した残額の2分の1に相当する金額となります。
退職所得控除額は勤務年数に応じて以下のように計算します。
この計算方法からも分かりますように、退職所得控除が手厚いことと、また所得金額を算定する前に1/2とすることで税負担を軽減する処置が採られています。
- 退職所得控除額の計算の表
勤続年数(=A) | 退職所得控除額 |
---|---|
20年以下 | 40万円×A (80万円に満たない場合には、80万円) |
20年超 | 4800万円+70万円×(A-20年) |
※勤続期間に1年未満の端数があるときは、これを切り上げて1年として勤続期間を計算します。
※(収入金額(源泉徴収される前の金額)-退職所得控除額)×1/2=退職所得の金額
なお、通常は退職金の支払いがされる前に会社から「退職所得の受給に関する申告書」という書類を渡されます。
これに記入の上提出しておくと、会社で所得税の計算を行い、退職金の支払いの際、所得税の源泉徴収が行われるために、原則として確定申告の必要はありません。
今回の設問では、Iさんは36年(1年未満の端数は切り上げ)の勤続年数に対して2300万円を受け取っていますので、計算式に当てはめると次のようになります。
2300-(800+70×(36-20))=380
従って、正解は④となります。
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